被相続人の名義不動産は使えない。相続手続きが重なるのは危険!数次相続を解説

相続情報

いきなりですが、相続手続きを放っておくのは危険ですよ。

当事務所であった事例です。

「マイホームの建設予定地が祖父の名義になっていることが発覚し、お客さま自身に名義変更するため親と祖父の2回の相続手続きが必要になりました。

しかし、疎遠になっている祖父の相続人から承諾が貰えず、名義変更が完了するまでに1年以上も掛かってしまったのです。」

事例のように相続手続きを放っておいている人は多いのではないでしょうか。

このように相続手続きが重なってしまうことを数次相続といいます。

相続手続きを放っておく理由として・・・すぐに土地を利用することがなかったため、故人の名義のままだった。

ましてや、土地の名義変更が相続手続きだと知らない人もいるでしょう。

相続手続きをしないまま年数が経ってしまうと、その間に新たな手続きが発生し重なってしまい相続人が増える問題が発生します。

今回、そのような重なってしまった「数次相続」ついて解説します。

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数次相続が起こると大変!最悪、完了できない場合も…数次相続とは

数次相続は「被相続人が死亡し遺産分割協議が終わる前に相続人が死亡し、新たな相続が開始」してしまうことです。

例えば、父親が亡くなり、数ヶ月後に母親が亡くなってしまった。父親の相続手続きを進めている間に、母親の相続が始まってしまう状態です。

このように相続手続きが重なってしまうことを2次相続(数次相続)と言います。

数次相続が起こると相続手続きが大変になるばかりか、高額な費用も掛かってしまう恐れがあるのです。

法務省HPでも「相続登記をしないで放っておくデメリット」でも書かれています。↓↓

出典元:法務省HP

最悪の場合、疎遠になっている相続人と連絡が取れないこともあり得るので、手続きが完了できず名義変更ができないこともあるのです。

そうなってしまうと、いざ不動産を利用したい(売買など)と思っても、利用できない問題が起きます。

2次相続までならまだ安心!図で解説

2次相続

図のような、「父親が亡くなった後、手続きせずに母親も亡くなってしまった」などの簡単な数次相続ならば、子どもだけが相続人となり、人数も複雑にならずそこまで問題になることはありません。

2次相続以上なると相続人の把握が難しい!図で解説

2次相続以上
出典元:税理士法人ファンウォールHP

この図は、税理士法人ファンウォールさんの画像をお借りしたものです。

〇数字が掛かれているのが相続人たちです。

図を見ていかがでしょうか。

2回以上の相続(数次相続)が重なってしまうと誰が相続人になるのか分かりにくいですよね。

ましてや、面識がない人もいたりします。

それでも手続きを完了させるため、そのような面識がない相続人であっても全員の署名と押印が必要になります。

中には悪い考えをする相続人もおり、押印をする代わりに金銭を要求してくる人も出てきたりもします。

嫌でも手続きを進めたい相続人は、お金を払ってしまうことになるでしょう。

これから分かるように数次相続は大変であり、無駄な費用が掛かってしまうのです。

数次相続は、時間と手間が掛かるから専門家に支払う費用も高くなる

数次相続を専門家に頼むと・・・普通の相続手続きよりも支払うお金も高くなります。

なぜなら、相続人の調査や書類作成に時間と手間が掛かってしまうからです。

例えば、戸籍から相続人の人数を把握し、相続人一人一人の必須書類を取得しなければいけません。相続人が増えれば増えるほど、取得する枚数も増えてしまうのです。

また、一か所の役場で取得できるわけではなく、複数の都道府県市町村へ申請しなければいけないので、その分の手間も増えるのです。

このような理由から、数次相続では相続人が増えてしまう傾向にあるので専門家が行う作業も必然に増えてしまい、費用も高額になります。

数次相続の遺産分割協議書は神経を使う

また、専門家の費用に直結するか分かりませんが・・・数次相続は遺産分割協議書の作成にも影響がでてきます。

遺産分割協議書は、相続人などの情報を正確に記載しなければいけません。もし記載内容にミスがあった場合、再度作成するなど手間(訂正印で修正可能な場合もある)も掛かってしまうばかりか、専門家としての信用問題にも発展しかねない作業です。

ですので、遺産分割協議書は、細心の注意をしながら作成に取り掛かるのです。

数次相続の場合、相続人の人数も増えるので記載する内容も増えることになり、相続人一人一人の情報を正確かつミスなく作成しなければいけず神経を使う作業になってしまいます。

自分で作成はNG!遺産分割協議書は専門家に頼むべき

遺産分割協議書に費用を掛けたくないと思い自分で作成したいと考える相続人もいるでしょう。

しかし、その考えはやめた方がいいし危険です。

もし、記載もれなどがあり遺産分割協議書として効力が発揮されない場合、再度作成し各相続人から署名押印をもらうしかありません。

考えてみてください。相続人が10人いたら、10人全員と連絡を取る必要がありますよね。それだけでも大変なのに、間違ってしまったらどうでしょうか・・・ましてや、面識がないならなおさら言い出しにくいですよね。

そうならないためにも、遺産分割協議書の作成含め数次相続になってしまったら、専門家の力を借りて進めるようにしたほうがいいでしょう。

数次相続の中間を省略して登記は可能か?できる場合とできない場合がある

数次相続の不動産の名義変更(登記)について説明します。

数次相続が起きてしまうと、2世代前の名義人(祖父)などになっていることがあります。

この場合・・・普通なら「祖父→父→本人」という順で登記をしなければいけないのが普通です。

しかし、ある2つの条件を満たした場合、中間「祖父本人」を省略して、登記することが可能です。

以下が条件です。

  • 中間の相続人が最初から単独であった場合
  • 中間の相続人が複数いたが、相続放棄や遺産分割協議などで単独で相続した場合

これからも分かるように、不動産を単独で相続した時だけ中間を省略して登記ができるのです。

ですので、遺産分割協議で他の相続人と共有持ち分になった場合、省略はできないので注意が必要です。

中間省略登記可能

このような場合、相続人は単独になるので中間を省略して直接、登記が可能になります。

中間省略登記不可能

このような場合は、中間で共有持ち分(遺産分割)になるので、直接登記することはできず、2回登記を行う必要があるのです。

上記の図の事例によって、中間登記を省略し直接登記ができるか変わってくるので注意してください。

数次相続でも基礎控除は変わらない。相続人の生きている人数で計算する

数次相続が発生すると、最初の相続(1次相続)と後の相続(2次相続)が重なってしまいますよね。

そして、相続税の基礎控除が気になるところです。基本的な基礎控除額の算出は以下です。

「3000万円+600万円×相続人数」

とは言っても、数次相続の場合、いつの相続から見ていけばいいのか分かりませんよね。

1次なのか2次からなのか・・・以下の事例で簡単に説明します。

例えば、祖父の1次相続で5人の相続人が生存しており、父の2次相続では3人の相続人が生存していれば相続人は計8人になります。

この場合、基礎控除額は7,800万円「3,000万+600万円×8人」です

基礎控除額を把握するのためには、法定相続人が生きている人数で計算すれば簡単にできるので覚えておいてください。

祖父のマイナス財産だけ相続放棄はできる。その理由を解説

最後に、数次相続の放棄について説明します。

相続放棄を考える場合、被相続人が残した財産がマイナスがプラスを上回り借金だった場合が多いです。

数次相続では、このようなケースで悩むのが多いはずです。

祖父の財産が多額の借金、父の財産はプラスの財産・・・このようなケースなら父の財産だけ相続し、祖父の財産は放棄したいと考えるのが普通ですよね。

結果からいいますと、祖父の財産だけ放棄し、父の財産だけ相続可能です。

それは民法916条で定まっているからです。

第916条

相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第1項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。

引用元:wikibooks

祖父の相続の開始を知った時からスタートするということですね。

逆に注意してほしいのが以下のケースです。

祖父がプラスの財産、父がマイナスの財産のケースです。この場合は、父の財産を放棄し祖父だけの財産を相続することはできません。

第939条

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす

引用元:wikibooks

父の相続を放棄した時点で、相続人の権利をなかったものとなります。

そして、父が持っていた祖父の相続の権利も引き継ぐ権利がなかったことになり、祖父だけの財産を相続するのことはできなくなってしまうのです。

まとめ:万が一数次相続で困っている場合は、信頼できる専門家に頼む

数次相続の説明はいかがだったでしょうか。

この記事を読むだけで理解するのは難しいと思います。

ただし、数次相続が発生すると大変になってしまうことは分かったのではないでしょうか。

数次相続が起こってしまうと、相続人もたくさん増え全員の思考も入り混じることで手続きがスムーズに進まなくなってしまいます。

そうなった場合、多くの手間と労力が掛かるばかりか、専門家に支払う費用も高額になってしまい大変です。

相続手続きが行っていないと分かった時点で後回しにせず、手続きを進めるようにすることが重要です。

【執筆者】 
茨城県常総市で行政書士として活動
行政書士 石塚昌克(いしつか まさかつ)

当事務所は、相続を専門に行っている事務所です。相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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