民法改正:遺留分減殺請求権が遺留分侵害額請求権に変更!違いを解説

相続情報

遺留分が侵害された相続人は、遺留分の返還を求めて請求しようと考えますよね。

しかし、遺留分が侵害されたからいって何もしないまま勝手に戻ってくるわけではありません。

遺留分を請求は、義務ではなく権利だからです。侵害した本人(受贈者)に伝えて、はじめて請求の意思表示をしたことになります。

例えば、その請求方法としては内容証明郵便などが多いです。この方法は言った言わないの問題が起きるのを避けるためです。

このように遺留分を請求することを、遺留分の侵害請求権といいます。

すんなりと受贈者(侵害者)が請求に応じくれればいいのですが、応じない場合、遺留分侵害額請求権(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅうけん)の申立てし裁判所で争うことになります。

この遺留分侵害額請求権は、近年の民法改正により遺留分減殺請求権(いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん)から名称が変わったのです。

名称は変わりましたが、遺留分の侵害に対して請求することを主眼にしているのは変わりません。

しかし、変更された箇所もあります。

今回は、変更されたことも踏まえて遺留分侵害請求権と遺留分減殺請求権の違いを詳しく解説します。

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以前は「遺留分の返還方法」に問題あり!解決するため遺留分侵害額請求権になった

まず初めに遺留分侵害額請求権に変わった経緯から解説します。

以前の遺留分減殺請求権には、問題があったため遺留分侵害請求権に変わりました。

それは遺留分の返還方法に問題があったからです。

遺留分減殺請求権では、遺留分の権利が主張されたら原則、現物が返還されます

例えば、遺留分権利者が1人(配偶者)、相続財産は預貯金1000万円と不動産だった場合、権利者の遺留分は、預貯金500万円と1/2分の不動産が返還されていたのです

この時、不動産の遺留分が問題になります。不動産を分けることは中々できないので受贈者と遺留分権利者で1/2ずつ共有持ち分となります。

共有持ち分になってしまうと、売買など不動産の処分をするには共有者の同意が必要になってしまい、今まではデメリットでしかなかったのです。

このように、遺留分減殺請求権では「財産の返還方法」に問題がありました。

しかし、遺留分侵害額請求権に変わって、以下の2つの制度が追加されてから問題が解決しました。

遺留分侵害額請求権に変わって新しい2つの制度を追加!

それでは新たに加わった2つの制度を紹介します。

遺留分権利者の返還方法を「金銭請求に1本化」

まず1つ目は、遺留分の返還方法が「金銭債権の1本化」に変わった点です。

先ほどの遺留分減殺請求権では、現物返還に問題があるとお伝えしました。その問題を解決するために、遺留分侵害額請求権では遺留分の返還を金銭で請求することを明確したのです。

出典元:相続に関するルールが
大きく変わります

これにより不動産の共有持ち分の問題は解消されることになります。

今回の変更により、遺言書で財産の指定をすれば確実に受遺者に渡せるようになりました。以前の遺留分請求なら現物を返還することになっていたので、遺言者の想いはないがしろになっていたのです。しかし、金銭債権の1本化になったことで遺言者の本意も汲み取れるようになりました。

受贈者や受遺者の保護:遺留分侵害額の弁済猶予が受けられる

もう一方、遺留分侵害額の支払いの猶予が受けられるようになった点です。

これは、受贈者や受遺者(以下受贈者)の保護のためでしょう。

遺留分が、高額な金額になってしまった受贈者は、すぐに現金を用意するの困難だからです。

このように、上記の画像の(2)でも、「金銭を直ちに準備できない場合」となっていることから、受贈者の保護を計ったものだと分かります。

確かに、遺留分権利者からすれば、金銭債権に変わった利点はたくさんありますが、受贈者からすれば溜まったものではありませんよね。

現金を準備できなかったら、生活支障が出るばかりか、借金を作ってしまう可能性だってあります。

そうならない為に、2つ目の制度が作られたのでしょう。

まとめ

遺留分減殺請求権と遺留分侵害額請求権の違いは以上です。

おもに変わった点は2つです。

金銭債権の1本化とそれに伴った受贈者に対しての弁済猶予です。

しかし、昔も今も遺留分を侵害された者を保護することを目的にしているのは変わりませんので、注意しましょう。

今回は、以上です。

遺留分について詳しく書いた記事も紹介しておきますので良かったら参考にしてください。

【執筆者】

茨城県常総市で行政書士として活動

きぬ行政書士事務所 代表 石塚 昌克(いしつか まさかつ) 

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