会社の跡継ぎ問題を徹底解説|社長と後継者以外の原因にも要注意!

相続情報

会社を経営していると跡継ぎをどうするか考えることがあると思います。

しかし、「その時が来れば息子たちの誰かが継いでくれるから大丈夫だよ」だとか「跡継ぎといってもどうすればいいのか分からないし、まだ体も元気に動くしあまり考えていないけど」と思っている社長も多いはずです。

ところが、それでは現社長にもしもの時があった場合に会社の存続が危ぶまれ、最悪倒産もあり得ます。

そうならない為にも、早いうちから後継者の問題に取り組むことが大事です。後継者が無事に育成できていれば、現社長に不測の事態が生じたとしても冷静に対応できるようになり、安心して会社が存続できるからです。

今回は、後継者の引継ぎ問題でどんなことが出てくるかについて話します。

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現社長からの意思表明の遅れが招く2つの問題

社長の悩み

「次の世代に、会社を引き継がせたい」と思っていても、いざその時になると上手に引き継げない問題が多くの会社で発生しています。

その原因として、よく挙げられるのが先代の社長からの意思表明が遅いことです。

例えば、「自分自身が今まで味わってきた経営の大変さや辛さを息子にも同じように負わせてもいいのだろうか」と悩んだりして、後継者への意思表明をためらってしまう場合もあります。

しかし、そうした気遣いのような想いがきっかけだったとしても、後継者への意思表明が、会社の存続危機に繋がりかねません。

そうした現社長からの意思表示の遅れが原因で何が起こるのかを、よくある2つの例をご紹介します。

経営者の突然の不幸によって、残された人が大変になる

まず1つは、経営者に突然の不幸があった場合です。

当然ですが、誰が後継者になるのかも決まっていないうちに、経営者に不幸があれば、残された人たちの苦労は計り知れません。

大切な人が亡くなれば、親近者の人たちは悲しみに暮れて心身ともに疲れてしまいます。そんな状態で、 「お葬式や被相続人(死亡した人)の遺産整理などの親族問題」や「この先誰が会社を継いでいくのかなどの存続問題」を考えるなんて、想像もしたくないですよね。

ましてや、トップが不在になってしまったこの非常時に揉めたりしたら、その影響は経営者の家族だけでなく会社の経営全体にも及びます。最悪の場合、経営が傾いて会社が存続できなくなり、従業員やその家族まで路頭に迷ってしまうことも珍しくありません。

いま現在、体も元気で経営意欲があったとしても、何かがあってからでは遅いのです。

不測の事態も考慮して、残される家族や従業員たちが滞りなく引き継ぎを行えるよう、現役で活躍されている今のうちから準備を進めておきましょう

後継者が引き継ぐのを拒むこともある

後継者をはっきりと決めるのを先延ばしにした際に起こるもう1つのトラブルが、後継者が拒否する場合です。

現経営者と後継者の考えが違えば、会社を引き継がせる時がきていざ息子に会社を頼もうとしても当の本人が会社を引き継ぐのを拒むこともあります。

例えば、経営者側では適任だと思っていても、後継者側では会社を無事に継いでいける自信がなければ辞退したいと思っているかもしれません。

このような気持ちのすれ違いも、早い段階で気付けていれば、「話し合い」や「他の後継者を探す」などの対策も可能です。

しかし、今まさに引継ぎを行おうとした時点で断られたりなどすれば、現経営者が浮かべていた予定は崩れてしまい、後継者を誰にするのかをゼロから考え始めなくてはなりません。

引退を考えていた時期に、「後継者が決まらない」という想定外だった大きな問題が突然浮上してくるのですから、その負担は非常に大きいです。だからこそ、「誰を後継者にするのか」を早い内に決めておき、更には本人とも必ず意思の確認をしておきましょう。

意外にも多い後継者側の悩み。よくある3つの例を紹介

後継者の悩み

それでは続いて、後継者が引き継ぎを拒む原因について見ていきましょう

会社を次の世代へ引き継がせるために現社長は悩むことが多いですが、引き継ぐ側の後継者自身も同じように多くの悩みを抱えているのです。

その理由として以下のようなデータがあります。

出典:ヤフー知恵袋

これはヤフー知恵袋の「会社 継ぐ 悩み」で検索した場合の結果です。オレンジ色矢印の箇所を見ていただければ分かるように430件もの相談事例があります。

すべての事例が、後継者自身の悩みと捉えることはできませんが、赤下線部分の内容はまさに引き継ぐ側の悩みを相談しているのが分かります。

このように現経営者だけではなく、後継者側も会社を引き継ぐ悩みを持っているために、引き継ぎを拒まれるといったトラブルが起きてしまうのです。

そんな後継者側の悩みですが、よくある3つの例をご紹介します。

後継者が会社を引き継ぐ決心がつかない

まずはじめに後継者の悩みとして挙げられるのが、後継者自身に会社を引き継ぐ決心がつかないときです。

その主な要因は 「現社長からの明確な意思表明がない」が挙げられます

現社長の心の内では後継者が決まっていたとしても、その意思は目で見て分かる形で、後継者にはっきりと伝えておかねばなりません。たとえば明確な時期が定まっていないと、後継者側は将来的には会社を引き継ぐだろうと漠然とした気持ちしか抱けません。

果たして自分が本当にあとを継げるときは来るのだろうか…ましてや、その時がいつ来るのか明らかになっていない状態では、引き継ぐ決心など固まるはずもありませんよね。

なので、現社長は、後継者に対して明確な意思表明をしておかねばなりません。

そうしなければ、後継者自身はいつまで経っても会社を引き継ぐという心構えができず、いざ引き継がせたいと思っても安心して引き継がせることはできないままになってしまいます。

後継者自身が経営能力に対して自信がない

次に後継者自身が自分の経営能力に対して自信がないときです

後継者は小さなころから経営者としての父の背中を見てきています。創業時から現在まで会社を存続させ大きくした父と、同じように会社を継続させて更に繁栄させるだけの経営能力が自分にも備わっているのか常に考えています。

私の父は、私が生まれる前から小さな自動車整備工場を営んでいます。そんな私も30代半ばで父と同じように事業を始めましたが、この事業を始める前に、父からの相談を受け整備工場を継ぐことも考えました。

しかし、父から受け継いだ会社を存続させ更に繁栄させて従業員や家族を十分に養っていけるだけの経営能力はないと当時は思い込み、結果的に継ぐことはしませんでした。

現経営者は会社の引継ぎを考えたときに、息子なら大切な会社を託しても大丈夫と心では思っていても、後継者側は経営能力に自信を持っていないなどの悩みを抱えており、 会社を引き継ぐのを拒んでしまうかもしれません。

私の父の場合、今すぐ引退を考えるような年齢では無かったため、私が引き継がなくても他の後継者を探す猶予がありましたが、これがもしもすぐに引き継ぎが必要な状態だったら重大な問題になっていたと思いますよね。

このような最悪の状況を回避するためにも、現経営者は後継者の悩みを早いうちから聞き出しその問題に対処していかなければ、無事に会社を後継者へ引き継がせられなくなってしまいます。

現経営者も後継者も気づきにくい。第三者の反対!

それでは最後の悩みです。

それは、後継者が経営者としての能力も育ち決心もついて、あとは株移行などの手続きをするだけというときに、後継者の配偶者による第三者の反対によって後継者が悩み引継ぎを辞退するケースがあります。

なぜなら、後継者の配偶者の多くは後継者が会社を引き継ぐことに悩みを抱いているためです。

これは、私が参加したセミナー講師の方から聞いた話です。

その方は、父が経営している従業員数人の小さなクリーニング工場の後継者として決意も固めていたらしいのですが、継ぐ直前で妻から反対されてしまったのです。

その理由は、「夫がこんな小さな工場を継いで、家族の生活費子どもの学費などの安定した収入が得られるのか」という将来に対する不安でした。そして、直前となってその不安を打ち明けて、旦那が会社を継ぐことに反発してきたのです。後継者は悩みに悩んだ挙句に辞退し、結果的に会社は継ぐ者がいなくなり、たたむことになってしまいました。

いざ引退をするときに、このような問題によって後継者が引き継げなくなったら、現経営者をはじめ、会社の一大事です 。

後継者育成には、早ければ10年以上前から育成に取り掛かっている経営者もいるぐらいで、後継者を育てるために数年単位で計画を立てるのは当たり前です。

その計画の終盤に差し掛かって思わぬ第三者の問題で、また一からスタートになったらどうでしょうか。

そうならないためにも、現経営者は後継者だけではなく、その配偶者などの周りの状況にも注意して引き継ぎの計画を進めていかなければいけません。

後継者に継いだ後でも起こる2つの問題!

ここまでお話ししてきたような問題を乗り越えて後継者に引き継いでもまだ安心はできません。会社が安定して事業が進めていくまでにはさまざまな問題が生じてきます。

なぜなら、後継者は先代社長より経験値が圧倒的に足らず、それにより経営の判断が後手後手になってしまい多くの問題が起きるのです 。

その多くの問題は、大きく分けて2つに分かれます。

  • 取引先の対応力や経営の決断力から起きる後継者の経営能力不足の問題
  • 役員や従業員との連携から起きる会社内部の人間関係の問題

になります。それではこの2つの問題をもう少し詳しく説明します。

後継者の経営能力の不足による問題

まず1つ目は、後継者の経営能力の不足による問題です。

たとえば、先代社長から付き合っている取引先の対応めまぐるしく変わる社会の状況に対しての的確な経営判断の決断は、引き継いですぐに出来るようなものではありません。

特に「昔からの付き合い」が理由で取引が行われていたような会社は、経営者の交代をきっかけに、関係が大きく変わってしまうことも珍しくないのです。

また、「会社の経営状況は厳しいが、今後の売上を伸ばすために新規事業に参入するべきか」など経営の決断に悩む場合もあります。

このような場面を乗り越えられるかどうかは経営者の手腕にかかっていますが、そうした経営能力は、その都度起きる問題に対して1つ1つ解決していくことでしか成長させられません。

そのため、引き継いで間もない後継者が誤った対応によって起こる経営の悪化は、仕方のないことでもあるのです。

もちろん、引き継ぎ前に出来ることやっておかなければならないことも沢山あります。

社長のそばで経営を学ばせて決断の基準を身につけさせたり、昔からの関係が続いている会社には後継者と共に挨拶に伺ったりなど、こうした積み重ねを早い段階から行っておくことが、後継者の経営能力を養うのに必要不可欠です。

しかし、事前に出来る準備を整えていたとしても、後継者自身が多くの問題を解決して実体験を得なければ経営能力を身に付けるのは難しいです。

なので、現経営者は引き継いだ後も後継者へ経営のアドバイスをしつつ、一人前になるまで会社に残るようにしなければいけません。

役員や従業員による会社内部の問題

もう1つの問題は、役員や従業員といった会社内部の人間関係です。

年齢的な若さや先に挙げた経営能力不足など一人前として認めていないような人物が、ある日突然会社のトップになったら、よく思わない人も当然出てきます。

「先代社長だったから」という理由でついてきていた人たちなど、まさにそうでしょう。

内心で思われているだけでなく、後継者の経営方針に対して明確な行動で反発を起こされたりなんてことも、後継者に引き継いだばかりの会社では決して少なくありません。

現経営者からすれば、引き継ぎ後は後継者と役員・従業員たちが共に協力して会社を存続繁栄してほしいと願っているものです。

しかし、現経営者は後継者に安心して引き継がせることばかり考えていると、引き継いだ後にこのような問題で会社の存続が危ぶまれます。

経営者の視点と従業員の視点

そうならない為にも、あらかじめ現経営者は育成時から後継者を現場で経験させ、役員や従業員たちと上手に連携が取れるように引き継ぎ後の対策も考えておく必要があります。

まとめ

以上が、会社を後継者へ引き継ぐ際に起こる問題でしたが、想像以上に多かったと感じられているのではないでしょうか。

「会社を引き継ぐ」とは、現社長だけの問題ではありません。

後継者本人はもちろん、後継者の配偶者、さらには従業員や、その家族の今後に関わる重大な問題なのです。

会社を末永く存続させ、家族も従業員も幸せに過ごせるよう、早いうちから後継者を決めて引き継ぎ問題に取り組むことが重要です。

【執筆者】 
茨城県常総市で行政書士として活動
行政書士 石塚昌克(いしつか まさかつ)

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